茨城県が映画やドラマのロケ地として有名なのをご存知ですか?
大洗町が「ガールズ&パンツァー」というアニメの舞台となったことで、一躍アニメの聖地となったことはご存知の方も多いと思いますが、実はそれだけではないのです。
全国フィルムコミッションが集計した過去5年の撮影数ランキングでは、茨城県は264作品で堂々の1位となっているのです。
2位の沖縄県が54件ですから、圧倒的に茨城県のロケ誘致数が多いことが分かると思います。
全国魅力度ランキングで最下位が定位置のようになってしまっている茨城県ですが、実は映画やドラマのロケ地としてはとても魅力的な場所であることがデータで示されているわけです。
なぜ茨城県は映画やドラマの撮影場所として選ばれるのか?
茨城県が映画やドラマの撮影地として活用されている背景には、さまざまな理由があります。
その理由の1つとなるのが、東京から日帰りで撮影に行くことができるという点です。
俳優さんや撮影スタッフの人たちはみんな多忙ですから、日帰りで撮影に行ける場所というのはとても魅力的に感じるに違いありません。
また、茨城県は「ロケ地としてのネタが多い」というのも、選ばれる大きな理由の1つになっていると思われます。
たとえば、つくば市のショッピングモール「つくばクレオスクエア」の一画は、原宿をイメージとしたロケ地として活用されることが多いですし、茨城県内の牧場が北海道の自然を表すシーンに利用されることもあります。
北海道をイメージしたシーンを、都内から日帰りで行ける場所で撮影できるわけですから、作品を作る側にしてみればとても便利です。
そして、茨城県がロケ地に選ばれている一番の理由として考えられるのが、「いばらきフィルムコミッション」の存在です。
いばらきフィルムコミッション」は、茨城県が運営しており、各市区町村のフィルムコミッションと連携して、撮影に関するさまざまなサポートを行っています。
撮影者がロケ地選びに困ったときに最適な場所を案内してくれるだけではなく、撮影許可に関する協力やエキストラ手配、宿泊施設の案内など、本来であればADさんがやらなければならないことまでサポートしてくれます。
つまり茨城県では、県全体が一丸となってロケ隊を誘致しているわけです。
その結果、茨城県は全国のフィルムコミッションが集計した過去5年間の撮影件数で、2位に圧倒的な差をつけて堂々の1位となっているわけです。
大ヒットドラマや映画にも茨城県がたくさん登場
2018年に「カメラを止めるな」という映画が大ヒットしましたが、この映画の大半のロケ地となったのが、茨城県水戸市にある旧芦山浄水場です。
自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画を撮影するという設定の映画ですが、この旧芦山浄水場がまさにゾンビがでそうな雰囲気の建物でした。
この旧芦山浄水場は、「金田一少年の事件簿」でもロケ地となっています。
池井戸潤が原作の大ヒットドラマ「陸王」でも、茨城県がロケ地として使われています。
光石研が演じる有村融が経営する「アリムラスポーツ」は、茨城県古河市にある「タカハシスポーツ」がロケ場所です。
「陸王」の第一話では、光石研が陸王の試作品を履いてランニングするシーンが登場しています。
同じく池井戸潤が原作の大人気ドラマである下町ロケットで、「ヤマタニ製作所」として撮影されていたのは、茨城県つくばみらい市にあるクボタ茨城工場です。
木村拓哉と二宮和也が主演の「検察側の罪人」という映画で、検察庁として撮影されたのは、水戸市にある県議会議事堂です。
この県議会義堂の大広間に飾ってある絵画は、実際の劇中でもそのまま使われています。
少年ジャンプの人気連載漫画ニセコイの実写版映画でも、茨城県がロケ地として使われています。
映画の中で登場した「凡矢理高校」の校舎は、茨城県庁の旧庁舎です。
2018年のTBSテレビドラマ「アンナチュラル」でも、何度か茨城県が登場します。
第4話に登場する、しあわせの蜂蜜ケーキの工場は、水戸市にある亀印製菓です。
第6話で調布西飛行場として登場しているのは、実は茨城県の大利根飛行場です。
水谷豊が主演の相棒11でも、茨城県で撮影されたシーンがしばしば登場しています。
第4話で、杉下右京、甲斐亨、笛吹悦子の3人が話をしている空港と、最終回で大木長十郎と小松真琴が向かった空港はどちらも茨城空港ですし、第12話に登場する外務省庁舎は実は茨城県庁の庁舎です。
同じく第12話に登場する衆議院会館でのシーンは、茨城県市町村会館で撮影されています。
仮面ライダーの撮影になくてはならない茨城県庁舎
茨城県は特撮の聖地とも呼ばれ、人気特撮シリーズである仮面ライダーのロケ地としてよく使われます。
その中でも、よく撮影場所として使われているのが茨城県庁庁舎やその周辺です。
2018年に行われた「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」のロケでは、県庁の前を走る県道が8時間も封鎖され、地元の住民たち500人がエキストラとして出演しています。
仮面ライダーシリーズで、茨城県の県庁周辺で撮影されたシーンには次のようなものがあります。
仮面ライダードライブでロイミュードの情的となったビル、仮面ライダーウィザードがファントムと戦ったビル、仮面ライダーフォーゼがゾディアーツと戦った場所、仮面ライダーオーズがウォースターと戦ったビル、仮面ライダーオーズがウヴァと戦ったビル、これらはすべて茨城県庁です。
茨城県庁舎は仮面ライダーシリーズだけではなく、特命戦隊ゴーバスターズ、獣電戦隊キョウリュウジャー、海賊戦隊ゴセイジャー、天装戦隊ゴセイジャー、侍戦隊シンケンジャー、炎神戦隊ゴーオンジャーなどの撮影場所としても使われており、まさに特撮の聖地となっています。
参考:茨城県庁舎
時代劇の撮影場所といえばワープステーション江戸
時代劇のロケ地といえば、なんといっても茨城県つくばみらい市にあるワープステーション江戸です。
文字通り江戸時代にワープしたような、時代劇用のオープンセットが立ち並ぶ施設です。
以前は一般公開をしていましたので、誰でもオープンセットを見学することができたのですが、残念ながら2020年3月31日でワープステーション江戸の一般公開は終了してしまいました。
このワープステーション江戸で撮影された時代劇は、数え切れないほどたくさんあります。
主なものを一覧にすると以下の通りです。
「西郷どん」「信長協奏曲(映画版)」「八重の桜」「JIN-仁」「JIN-仁-2」「龍馬伝」「武蔵」「新選組!」「劇場版TRIC3」「アシガール」「るろうに剣心」「真夜中の弥次さん喜多さん」「義経」「葵・徳川三代」「篤姫」「サムライせんせい」「花燃ゆ」
ワープステーション江戸というネーミングから、江戸時代のオープンセットばかりだと思っている人もいるかと思いますが、実はそうではありません。
明治の小道、大正から昭和にかけてのビル街、昭和の下町、路面電車といった、近現代のセットもたくさんあるのです。
そのため、時代劇だけではなく、次のような作品でもワープステーション江戸がロケ地と使われています。
「とと姉ちゃん」「天皇の料理番」「金田一耕助VS明智小五郎」「ゲゲゲの女房」「坂の上の雲」「こちら葛飾区亀有公園前発出所」「銀魂」
面白いのは、次のような特撮物でも、ワープステーション江戸がロケ地として使われていることです。
「侍戦隊シンケンジャー」「轟轟戦隊ボウケンジャー」「魔法戦隊マジレンジャー」「爆竜戦隊アバレンジャー」
茨城県庁舎周辺もそうですが、特撮物の撮影地として茨城県は欠かせない存在となっているわけですね。
参考:ワープステーション江戸
文:護持八平